カメムシの中でも「緑」と「茶色」の種類には、見た目だけでなく、放つ臭いの強さや生息エリア、行動パターンに明確な違いがあります。
特に、茶色のカメムシは洗濯物や屋内への侵入など、日常生活への影響が大きいため、警戒が必要です。
一方で、緑のカメムシにも知られざるリスクが潜んでおり、油断はできません。
本記事では、緑と茶色のカメムシそれぞれの特徴や臭いの強さ、出没時期や地域ごとの傾向、さらに被害に遭った際の実体験とその防除策までを徹底的に解説します。
これを読むことで、季節ごとのカメムシ対策が立てやすくなり、知らずに遭遇してしまう不快なトラブルを未然に防ぐ手助けとなるでしょう。
記事のポイント
- 緑と茶色のカメムシには種類ごとの臭さの違いがある
- クサギカメムシやスコットカメムシは特に悪臭を放つ
- 緑カメムシでも臭い個体は存在するので油断禁物
- 季節・地域・住環境によって発生傾向が変わる
カメムシは緑と茶色どっちが臭い?基本知識と判別法
緑カメムシの種類と特徴

カメムシには様々な種類がありますが、緑色をした代表的な種には「アオクサカメムシ」「チャバネアオカメムシ」などがいます。
これらは主に草地や畑に生息し、葉や果実の汁を吸って生活しています。
特にアオクサカメムシは、日本全国の農地や果樹園などで広く見られる存在で、農作物に与える被害の大きさから、重要な農業害虫のひとつとされています。
見た目は明るい黄緑色で、葉に同化しやすく、発見が遅れることもあります。
成虫になると体長は10~15mm程度で、比較的コンパクトながらも活動的です。幼虫の段階では体色が薄く、羽化とともに鮮やかな緑に変わるのが特徴です。
また、アオクサカメムシの匂いは比較的控えめとされることが多いですが、個体や刺激の強さによって臭気の程度が異なるため、一概に「臭くない」と断言するのは危険です。
過去にはアオクサカメムシの分泌物が衣類に染み付いて不快な思いをしたという報告もあり、特に洗濯物に付着したまま室内に取り込むと、臭いが広がることもあるため注意が必要です。
茶色カメムシの種類と特徴

茶色系のカメムシには「クサギカメムシ」「マルカメムシ」などが挙げられます。
これらの種は、特に秋になると急激に活動が活発化し、人家や建物の内部に侵入してくる傾向が強まります。その主な目的は「越冬」であり、冬の寒さを避けるために屋内の暖かい場所へと移動する性質があるのです。
クサギカメムシは全体的に暗褐色をしており、体長は15~20mmとカメムシの中でもやや大柄な部類に入ります。
名前の由来でもあるクサギや、他の果樹・樹木に集まり、樹液や果汁を吸って栄養を摂ります。
特に果樹農家などでは、大量発生により収穫物が傷つけられるなどの被害も確認されており、農業害虫としても認識されています。
さらにこの種は、強烈な悪臭を放つことでも広く知られており、刺激を受けると臭腺から分泌液を噴射します。
その臭いは衣類や壁に染み付くほど強烈で、洗濯物への付着による被害報告が特に多く、生活の質に大きく影響を及ぼす存在といえるでしょう。
臭いの強さランキング—一番臭いカメムシは?

最近の調査や専門家の話によると、「クサギカメムシ」「スコットカメムシ」「マルカメムシ」という3つの種類のカメムシが、特ににおいが強いことでよく知られています。
これらのカメムシは、においを出す体のつくりが似ていて、人間にとってとてもイヤなにおいを出す傾向があります。
においの強さの目安 | 名前 | 色の特徴 | においを感じやすい場面 |
---|---|---|---|
非常に強い | クサギカメムシ | 茶色~黒っぽい | 洗濯物や窓の近くでびっくりさせたとき |
とても強い | スコットカメムシ | 茶色 | 寒い地域で秋に家に入ってくるとき |
強い | マルカメムシ | 茶色で斑点あり | 植物の上で触ったとき |
中程度 | アオクサカメムシ | 明るい緑色 | 青っぽいにおいで少しだけ弱い |
※この順位は目安で、同じ種類でもにおいの強さは違うことがあります。
クサギカメムシは、街中でもよく見かけることがあり、洗濯物にくっついて家に入ってくることもあります。
スコットカメムシは寒い地域に多く、秋になると暖かい家の中に入って冬を越そうとします。マルカメムシは田んぼや畑の近くでたくさん見られ、体の模様が特徴的です。
これらのカメムシのにおいのもとには、ヘキセナールやデセナールという成分が含まれていて、とてもいやなにおいを作ります。
また、どれだけにおいを出すかは、体のつくりやびっくりさせられたときのようすによって変わります。だから、同じカメムシでも、においが強いときと弱いときがあります。
つまり、「このカメムシが一番くさい!」と決めつけるのではなく、「こういうカメムシはくさいことが多い」と考えるのが大切です。
いろいろな理由が重なってくさいにおいが出てくるので、それを知っていれば、落ち着いてしっかり対策できるようになります。
緑カメムシは本当に臭くないのか?揮発成分を分析

「緑のカメムシ=臭くない」というイメージを持つ人も少なくありませんが、実際には必ずしもそうとは言い切れません。
緑色のカメムシの中にも、状況や個体によっては強い臭いを放つものが存在しています。
代表的なアオクサカメムシは、一般的には比較的控えめな臭気とされますが、刺激を受けた際には分泌腺から特有の臭い成分を放出することが確認されています。
実際にアオクサカメムシの分泌物を化学的に分析すると、主にヘキセナール、オクテナールといったアルデヒド系の揮発性有機化合物が含まれていることが分かります。
これらの成分は人間の嗅覚に対して強い青臭い刺激臭として認識され、特に鼻に残りやすい不快なにおいを持っています。
また、これらの物質は揮発性が高く、空気中に広がりやすい性質を持つため、密閉された空間などではより強く感じることがあります。
ただし、茶色系カメムシと比較すると、緑系カメムシの分泌腺はやや小さく、分泌液の量も少ない傾向にあります。
このため、実際に発せられる臭気の強さとしては「控えめ」「軽度に感じる」と評価されやすく、結果的に「臭くない」と捉えられるケースが多くなっています。
しかしながら、個体差や環境要因(気温、湿度、刺激の度合い)によって臭気は大きく左右されるため、緑=無臭と決めつけてしまうのは危険です。
特にアオクサカメムシは春から初夏にかけて活発に活動し、洗濯物やカーテン、窓際に潜んでいることが多く、知らずに触れてしまうと一気に臭気が広がることがあります。
家庭内での遭遇を避けるためには、茶色カメムシと同様に、緑系のカメムシに対しても一定の注意と対策を講じることが重要です。
カメムシは緑と茶色どっちが臭い?緑と茶色の行動特性にも注目
茶色カメムシが冬に屋内へ侵入しやすい理由

茶色カメムシは「越冬性」が非常に高く、気温が下がる冬場になると、暖かい場所を求めて人の住む家屋内へと移動してくる性質があります。
特にクサギカメムシはこの傾向が顕著で、外気温が10度を下回るようになると、本能的に温度が安定した場所を探して家の中に入ろうとします。
その際、窓枠の隙間や換気口、配線の通気口、屋根裏の通風孔など、ごく小さな隙間からでも侵入してくるため注意が必要です。
また、茶色の体色はコンクリートの壁や木造家屋の外壁と同化しやすく、人目につきにくいため、気づいたときには複数匹が家の中にいる…ということも珍しくありません。
特に暖かい日差しが差し込む南向きの外壁やベランダでは、冬の晴れた日に日向ぼっこしている茶色カメムシを見かけることがあります。
これはカメムシが体温を維持するために行う行動で、日没後になるとそのまま隙間に潜り込んでしまうケースが増えるのです。
さらに、屋内に入り込んだ茶色カメムシは、照明の熱や家電の裏側など、外気よりも暖かい場所でじっと越冬体勢に入ります。
刺激を与えなければ動かないことも多いですが、掃除や衣類の片付けなどで触れてしまうと防衛反応で臭腺から強烈な悪臭を放つため、侵入防止の物理的対策を事前に施しておくことが重要です。
色が変わるカメムシ—成長と気温で緑⇄茶色?

カメムシの体色は、その種類によって違うだけでなく、成長する段階やまわりの気温、日光の当たり方などによっても変化します。
たとえば、カメムシの幼虫は灰色や黒っぽい色をしていて、まだ成虫と同じような色ではありません。しかし、成長するにつれて、次第に緑色や茶色といった大人のカメムシの色に変わっていきます。
特にアオクサカメムシは、気温や日照条件の影響を受けて体の色合いが変化することがあります。
気温が低いと緑がくすんだように見えたり、日があまり当たらない環境では色が濃くなって茶色に見えることもあります。
このため、「最初は緑だったのに、いつの間にか茶色になっていた」と思う人がいるのも無理はありません。
しかし、こうした変化はあくまで同じ種類のカメムシの中での体色の違いであって、別の種類に変わるということではありません。
つまり、「緑だったカメムシが茶色の別種に変わった」と考えるのではなく、同じカメムシが気温や光の影響で色が変化したと理解するのが正しいのです。
また、湿度や栄養状態、脱皮直後のタイミングなども体色に影響する要素として挙げられており、観察している個体の状態によって印象が異なることもよくあります。
したがって、色だけで種類を判断するのは難しく、行動や体形など複数の要素を併せて見極めることが重要です。
地域差で変わる緑と茶色の比率—大量発生マップ

カメムシは日本全国で見られる昆虫ですが、地域ごとに出現する種類の比率には大きな違いがあります。
たとえば、東北地方では気温が低めで湿度が高い気候が影響し、アオクサカメムシのような緑系のカメムシが多く観察される傾向にあります。
一方、関東地方から中部・近畿・九州にかけての温暖な地域では、茶色系のクサギカメムシが多く確認されており、都市部や住宅地でもその姿を目にすることがあります。
この地域差は、気候条件だけでなく、周囲の植生(どんな植物が多いか)や標高、都市化の進み具合などによっても左右されます。
また、毎年の発生状況には波があり、暖冬の年には茶色系が早くから活発化し、冷夏や長雨の年には緑系の活動が遅れるといった傾向も見られます。
気温・降水量の変動はもちろん、エサとなる果実や草花の生育状態によっても発生数が大きく変わってくるのです。
近年では、自治体や研究機関が公開している「害虫出現情報マップ」や「農業気象情報データベース」などを活用することで、住んでいる地域でどの種類のカメムシが多いのかを視覚的に確認することができます。
さらに、SNSなどでも「○○市でカメムシ大量発生」といった目撃情報がリアルタイムで投稿されることが増えており、こうした情報をうまく活用することで、事前の対策や洗濯物の取り込み時間の調整なども行いやすくなります。
このように、カメムシの発生は気候や地理条件だけでなく、情報の収集と活用によって被害を軽減できる可能性があります。
特定の色のカメムシが多い地域に住んでいる人は、その種類に応じた防除方法をあらかじめ把握しておくことが、快適な生活を守る第一歩となります。
臭くないカメムシと誤認されやすい昆虫の見分け方

カメムシに似た昆虫には「ホソヘリカメムシ」や「ナガメ」などがあり、見た目が似ていることから一般の人がカメムシと間違えてしまうことがよくあります。
これらの昆虫は、普段はおとなしくしているため、触れなければほとんどにおいを発しません。
しかし、手で捕まえたり、驚かせたりすると、防御反応として少量ながらも独特なにおいの成分を分泌することがあります。
たとえば、ホソヘリカメムシは体が非常に細長く、長い脚が特徴的で、草むらなどで見かけることが多い昆虫です。
ナガメはオレンジ色と黒色の組み合わせによる警戒色模様を持っており、野菜畑などでよく目にすることがあります。
こうした昆虫は一見するとカメムシの仲間のように見えますが、実際には生態や害の程度が異なるため、適切に識別することが重要です。
見分けるためのポイントとしては、体の厚み(平たいか丸みがあるか)、触角の節の数や長さ、背中の模様の形状や色彩などが参考になります。
また、動きの速さや飛び方の違いも観察ポイントのひとつです。ホソヘリカメムシは比較的素早く移動し、ナガメはじっとしていることが多いなど、行動の違いからも判断できます。
誤認を避けるためには、信頼性のある資料やツールを活用することが有効です。
最近では、害虫図鑑アプリや昆虫識別アプリなども登場しており、スマホで撮影した写真を使って照合できる機能を持つものもあります。
さらに、自治体の公式ウェブサイトには「昆虫被害情報ページ」が設けられていることも多く、地域で発生している害虫の種類やその特徴を写真付きで紹介しているので、確認手段として非常に便利です。
このように、においの有無だけでカメムシかどうかを判断するのではなく、見た目や行動パターンを含めて冷静に見分けることが、不要な誤解や対処ミスを防ぐために大切です。
私の家で遭遇した緑と茶色のカメムシ被害と防除記録

筆者の住まい(関東南部)では、毎年秋から冬にかけて茶色のクサギカメムシによる侵入被害が頻繁に発生しています。
特に10月頃から洗濯物に付着していたり、窓枠のすき間から室内に入り込んでくることが多く、予想外のタイミングで遭遇して強烈な悪臭に悩まされました。
洗濯物に付いたカメムシが気づかないうちに部屋の中まで入り込み、触れた際に臭いを発して大変な思いをしたこともあります。
一方、春先には緑色のアオクサカメムシを見かける機会が増えますが、主に網戸越しに留まっているだけで、室内に入ってくることはほとんどありません。
見た目にも比較的おとなしく、刺激しない限りは臭気を感じることも少なく、茶色のクサギカメムシに比べれば被害は軽微でした。
こうした体験を踏まえ、筆者は防除対策としていくつかの工夫を行っています。
まず、網戸は目の細かいタイプに交換し、わずかな隙間も通れないようにしました。さらに、換気口には防虫ネットを取り付け、外からの侵入経路を物理的に遮断しています。
加えて、ベランダや窓の近くには市販の忌避スプレーを定期的に散布し、特に秋の晴れた日などカメムシが活発になるタイミングを狙って予防を徹底しています。
また、洗濯物を取り込む際には、必ず一枚一枚を振って確認するようにし、夜間の取り込みは避けるなど、日常の行動にも注意を払うようになりました。
こうした継続的な対策によって、近年は大きな被害を回避できるようになってきています。
専門家に聞いたカメムシ 緑と茶色 どっちが臭いの最終結論

害虫研究家や昆虫生態学者の見解では、一般的に茶色のカメムシの方がより強い臭いを持つ傾向があるとされています。
特にクサギカメムシは、臭腺の発達が著しく、刺激を受けた際に臭気を放出する量も非常に多いことが実験によって確認されています。
その臭気成分は衣類や家具などに染み込みやすく、長時間にわたって残留するという厄介な特徴もあり、生活空間での被害が大きくなりやすいといえるでしょう。
一方で、緑色のカメムシ、特にアオクサカメムシなどは、臭腺の構造が茶色系より小さく、分泌される液体の量も控えめです。
そのため、放たれる臭気の刺激も弱めで、「マイルドなにおい」と感じるケースが多いのが特徴です。
ただし、これはあくまで一般論であり、状況や個体差によっては緑カメムシであっても強い臭いを発する場合があります。
特に衣類などに付着したまま室内に取り込まれた場合は、臭気が密閉空間に充満し、予想以上に不快な思いをすることもあります。
結論として、「どっちが臭いか」という問いに対する答えは、「茶色のカメムシの方が臭気は明確に強い傾向がある」が、だからといって緑カメムシを油断してよいわけではない、というのが現実的な見解です。
色だけで警戒レベルを判断するのではなく、それぞれの特徴を知ったうえで、季節や居住地域に応じた対策を講じることが求められます。
まとめ:緑と茶色のカメムシ、対策の決め手は?

この記事では、緑と茶色のカメムシにおける生態的な違いと、それに基づく対策方法について多角的に比較・解説してきました。
においの強さ、行動パターン、出現する季節、そして住宅への侵入リスクといった各項目で違いが見られ、それぞれに対処の工夫が必要であることが分かりました。
なかでも特に注意すべきは、茶色のカメムシ(代表例:クサギカメムシ)です。悪臭の強さだけでなく、秋から冬にかけての発生時期が住宅の暖房使用と重なり、屋内への侵入頻度が高まる点でも厄介な存在といえます。
また、衣類や布団への付着、窓際での日光浴からの侵入といった生活に密接に関わる行動が多く、対策を怠ると日常生活に大きな不快感をもたらすことも珍しくありません。
一方で、緑色のカメムシ(代表例:アオクサカメムシ)も決して油断できません。
見た目の印象から「無害」と思われがちですが、特定の条件下ではしっかりと臭いを放ちますし、春〜初夏にかけて網戸やカーテンにとまっていることも多くあります。
触れたり驚かせたりすると、予想外の臭気を発することがあるため、色による思い込みは危険です。
防除対策としては、色に関係なく「通さない」「寄せつけない」物理的・化学的手段を組み合わせることが重要です。
具体的には、網戸の目の細かさを見直す、換気口や通気孔に防虫ネットを設置する、忌避剤を散布する、洗濯物を外干しした後はよく確認してから取り込むといった日常的な習慣の見直しが効果的です。
結論として、「緑だから安心」「茶色だから危険」と単純に色で決めつけるのではなく、それぞれの特徴と行動傾向を理解し、どんなカメムシでも柔軟に対応できる備えを整えておくことこそが、最も賢明で実践的なカメムシ対策といえるでしょう。