ハクビシンは一見すると可愛らしい姿をしていますが、実際には住宅の屋根裏に住み着いたり、夜間に騒音を出したり、畑や庭の作物を食い荒らすなど、深刻な被害をもたらす厄介な害獣です。
また、糞尿による悪臭やダニの発生、建物の損傷など、生活環境にさまざまな悪影響を及ぼすこともあります。さらに、近年では都市部でも目撃情報が増えており、身近な問題となりつつあります。
この記事では、そんなハクビシンの被害に対してどのように対応すればよいのかを詳しく解説していきます。
市役所や保健所への相談の仕方、駆除にかかる費用や補助金制度の有無、さらには自分で駆除する際の注意点まで幅広くカバーし、これから対応を考えている方にとって役立つ情報をまとめています。ハクビシンの被害で困っている方は、ぜひ最後まで読んで対策を検討してみてください。
記事のポイント4つ
- ハクビシンを見つけた場合、市役所や保健所が対応するケースもある
- 駆除費用は状況によって異なり、補助金の有無も自治体で異なる
- 自分で駆除する方法には限界があり、注意が必要
- 市役所と民間業者の併用が効果的なケースが多い
ハクビシン駆除は市役所に相談できる?

ハクビシンを見つけたらどこに連絡すればいい?
ハクビシンを自宅やその周辺で見かけた場合、最初に相談すべきは市役所の環境課や生活環境課です。
特に深夜に物音がしたり、天井裏から足音が聞こえるなどの異変を感じた場合は、早めの連絡が重要です。また、農作物が荒らされているなどの農業被害がある場合には、農政課が対応窓口となります。さらに、糞尿による悪臭やダニ・ノミなどの衛生被害が深刻な場合は、保健所への相談も有効です。
以下のような情報を事前に整理しておくと、対応がスムーズになります:
- 目撃した日時と具体的な場所(建物のどのあたりかなど)
- 被害の内容(糞尿、足音、断熱材の破損、作物の被害など)
- 写真や動画などの証拠(スマホで簡単に撮影しておくのが効果的)
- 被害の継続期間や頻度(いつから被害が出ているのか)
市役所に連絡をすると、職員が現地調査を行う場合や、必要に応じて有資格の駆除業者の紹介をしてくれることもあります。
また、自治体によっては捕獲用の檻の貸し出しや、補助金の対象となる駆除の条件説明なども行っています。被害の内容によっては、市役所・保健所・民間業者との連携が必要になることもあるため、まずは早めに行政窓口に相談することが大切です。
害獣駆除は市役所で対応してくれるのか?
結論から言えば、市役所自体が直接ハクビシンの駆除を行うケースは非常に稀であり、基本的には対応していません。
これは、ハクビシンが「鳥獣保護管理法」の対象となっており、無許可での捕獲や駆除が法律で禁止されているためです。ただし、被害を受けている住民を支援するために、市役所では以下のような間接的な支援を行っています:
- 捕獲用の檻(トラップ)の貸し出しサービス:一定期間、無料または低料金で檻を借りることができる
- 有害鳥獣駆除のための許可申請書類の手続き支援:書類の書き方や必要な提出物の説明など
- 信頼できる専門業者の紹介:市と提携している、または実績のある駆除業者を案内
- 駆除にかかる費用への補助金制度の案内:予算の都合により上限があることが多いが、費用軽減につながる
- 現地調査の手配(自治体によって対応):職員が現地の状況を確認するケースもある
多くの自治体では、ハクビシンを「有害鳥獣」に指定しており、一般市民が勝手に駆除することはできません。
そのため、市役所はこうした相談の初期窓口として、必要な支援や情報提供を行う役割を果たしています。
また、対応方法は自治体ごとに異なるため、自分の住む地域の制度や対応範囲を確認することが大切です。まずは市役所に連絡し、どこまで対応してくれるのか、どの窓口が担当なのかを確認することから始めましょう。
ハクビシン駆除は保健所に連絡すべき場合もある

ハクビシンがもたらす被害には、悪臭やダニの繁殖、感染症のリスク、アレルギーの悪化など、健康や衛生面で多岐にわたる問題が含まれます。
特に小さなお子様や高齢者のいる家庭では、これらのリスクが大きくなるため、注意が必要です。こうした場合には、保健所への相談が非常に効果的かつ重要な手段となります。
保健所が対応する主なケース:
- 屋根裏に住み着いて糞尿の被害がひどく、天井に染みができている
- 鳴き声や物音による生活被害が大きく、睡眠障害やストレスの原因となっている
- 室内にノミ・ダニが大量発生し、家族にかゆみや皮膚炎の症状が出ている
- 衛生上のリスクが高く、近隣住民からも苦情が出ている場合
保健所では、これらの情報をもとに現地の衛生調査を行うことがあり、その結果に基づいて行政的な指導や措置を講じるかどうかの判断をしてくれます。
また、必要に応じて市役所の環境課や動物愛護センターと連携し、さらなる対処を進めることもあります。
つまり、保健所は健康被害や生活環境への影響を重視したアプローチを担っており、市役所とはまた違った視点からのサポートが受けられるのです。早期に相談することで、症状の悪化や二次被害の拡大を防ぐことができます。
ハクビシン駆除の費用はいくら?相場を徹底解説
ハクビシン駆除にかかる費用は、被害の程度や場所、建物の構造や駆除範囲の広さによって大きく異なります。
たとえば、天井裏に糞尿が大量に蓄積されていたり、複数の侵入口があるようなケースでは、清掃や修繕、再侵入防止の対策に時間と費用がかかる傾向があります。以下に、おおよその相場を詳細に紹介します:
- 初期調査:無料〜5,000円(被害状況の確認、足跡・糞の確認、侵入口の特定など)
- 捕獲・追い出し:20,000〜50,000円(捕獲用トラップの設置、追い出し作業の実施)
- 忌避剤の散布:10,000〜30,000円(天然成分または化学薬品による散布、効果の持続は数週間)
- 清掃・消毒:10,000〜30,000円(糞尿の除去、悪臭対策、病原菌への対処)
- 再侵入防止工事:30,000〜100,000円以上(侵入口封鎖、金網や鉄板の取り付け、破損部の修繕)
また、被害が複数の場所に広がっていたり、再発リスクが高いと判断された場合には、複数回の対応が必要になり、総費用が15万円〜20万円以上に達するケースもあります。費用を抑えるためにも、被害が軽微なうちに対処することが重要です。
トータルで10万円以上かかる場合もあるため、費用負担を軽減する手段として、補助金制度の有無や支給条件を事前に確認しておくことが非常に重要な判断材料になります。
多くの自治体では、申請書類の提出や施工業者の条件が定められているため、事前に問い合わせをして、補助の対象になるように準備を進めておくと安心です。
ハクビシン駆除は市役所と民間業者の併用がベスト

駆除にかかる費用は自治体で補助される?
多くの自治体では、有害鳥獣駆除の補助金制度を設けており、個人で全額負担する必要がないよう配慮されています。
この制度を活用すれば、経済的負担を大きく軽減することが可能です。補助制度の内容や条件は市区町村によって異なりますが、以下のような支援を受けられるケースが多いです:
- 一部費用の助成(例:駆除費用の1/2〜2/3を補助、上限3万円〜5万円など)
- 捕獲用の檻やトラップの無償貸し出し(指定期間内の使用に限る)
- 専門業者への依頼に対する費用補填(見積書・領収書の提出が必要)
- 再侵入防止工事の補助(網張り、金属板取り付けなどが対象)
- 消毒や清掃作業への補助(衛生管理を含むものに限る)
こうした補助を受けるには、原則として事前申請が必要です。
駆除を行った後では申請が受け付けられないケースがほとんどなので、被害を確認したらすぐに市役所や環境課に相談するようにしましょう。さらに、自治体によっては「市指定の業者でなければ補助対象外」となることもあるため、駆除を依頼する前に制度の詳細と条件を確認することが非常に重要です。
また、助成対象となる作業の範囲や金額上限、申請方法、必要書類の種類なども自治体ごとに違いがあるため、面倒でも公式ホームページを確認するか、直接市役所へ問い合わせることが確実です。補助金を活用することで、自己負担を大幅に抑えながら、適切な駆除を行えるようになります。
ハクビシン駆除に使える補助金制度の探し方
補助金情報を探すには以下の方法があります。補助金の制度は自治体ごとに内容が異なっており、確認を怠るとせっかくの支援を受けられないこともあるため、慎重にチェックすることが大切です。
- 自治体公式ホームページの「環境」「生活」「害獣駆除」「防除対策」「有害鳥獣対策」などのカテゴリをチェック。PDFで要綱が公開されている場合もあります。
- 市役所や保健所に直接電話して、担当課(環境課、生活環境課、農政課など)につないでもらい、補助金の有無や申請条件を確認。
- 「○○市 ハクビシン 補助金」「○○市 害獣駆除 支援制度」などでインターネット検索し、地域限定の情報や体験談を収集する。
- 地元の防災・衛生に関する広報紙や市報などに記載されている情報をチェックする。
- 市役所窓口に出向いて、パンフレットや申請書類を直接受け取ることで、担当者に直接説明を受けることも可能。
また、自治体によっては申請に必要な書類や条件が非常に細かく設定されており、施工前後の写真添付や、指定業者の利用が必須となっていることもあります。
申請期限が年単位で決まっている場合もあるため、なるべく早めに確認し、必要書類を揃える準備を始めておくと安心です。
自分でできるハクビシン駆除と注意点

自力での駆除には次のような方法があります:
- 忌避剤(市販のスプレーなど)を使う
- 音や光で追い出す
- 侵入口を塞ぐ
ただし、ハクビシンは鳥獣保護管理法の対象であり、許可なく捕獲や殺処分はできません。また、追い出し後に再侵入を防ぐ処置をしないと効果が持続しません。
ハクビシン駆除にバルサンは効果ある?
バルサンなどの燻煙剤は、市販で簡単に手に入ることから、手軽な駆除方法として考える人も多いですが、実際の効果は限定的です。
確かに一時的にハクビシンを追い払う効果はありますが、それだけで問題が完全に解決するわけではありません。
- ハクビシンは煙を嫌がって一時的に逃げるが、数日後には再び戻ってくることが多い
- 巣が屋根裏や壁の奥深くにあると、煙が十分に届かず、巣に残ることもある
- 煙だけでは繁殖を止めたり、巣を完全に取り除いたりすることはできない
- 忌避効果が切れた後は、再侵入されるリスクが高く、いたちごっこになる可能性がある
- 煙の種類によっては、住居内の家具や衣類に臭いが残る場合もある
また、バルサンのような燻煙剤は、対象が害虫やダニなどを想定して作られているため、大型で知能の高い哺乳類であるハクビシンには根本的な効果が乏しいのです。
そのため、バルサンはあくまで補助的な手段と考えるべきであり、本格的な駆除を行うには専門業者のサポートを受けることが不可欠です。
業者による駆除では、ハクビシンの行動範囲や侵入口の特定、巣の除去、再侵入を防ぐ施工まで含めた包括的な対応が可能です。バルサンに頼りきるのではなく、状況に応じて適切な方法を組み合わせて対応するのが、被害を根本から解決するための近道です。
私が市役所に相談して駆除した体験談

私の住んでいる地域でも、ある日を境に天井裏からゴソゴソと物音がするようになりました。
最初はネズミかと思い放置していたのですが、日に日に音が大きくなり、夜も眠れないほどに。さらに、天井にシミのような跡が現れ、糞尿の悪臭も漂ってくるようになりました。このままでは生活に支障が出ると判断し、市役所の環境課に相談することにしました。
市役所ではすぐに対応してくれ、捕獲檻の貸し出しと、地域で実績のある駆除業者を紹介してもらうことができました。手続きは思ったより簡単で、職員の方の説明も丁寧だったため、初めてでも安心して進められました。
実際の流れは以下のようなものでした:
- 市役所に電話で相談(症状や場所、被害状況を報告)
- 数日後に職員が現地調査に訪問(屋根裏の状況や侵入口を確認)
- 捕獲用檻を自宅に設置(貸出無料、設置指導あり)
- 数日後にハクビシンを無事捕獲、その後業者が入り消毒・清掃を実施
- 被害状況を報告し、補助金の申請書類を提出
駆除作業にかかった費用はトータルで10万円ほどでしたが、市の補助金制度を活用したことで、自己負担は実質半額程度に抑えることができました。
特に再侵入防止の金網施工や、屋根裏の消毒・防ダニ対策まで含めた対応をしてもらえたのは大きな安心材料でした。市役所に相談したことで、費用の負担だけでなく精神的な負担も軽減され、本当に相談してよかったと感じています。
民間業者に依頼する場合の選び方と注意点
ハクビシンの駆除を民間業者に依頼する場合、信頼できる業者を選ぶことが非常に重要です。業者選びを誤ると、必要以上に高額な請求を受けたり、十分な駆除が行われず再発してしまったりするリスクがあるため、慎重な判断が求められます。
以下のような点をしっかり確認しましょう。
信頼できる業者を選ぶポイント:
- 鳥獣保護法に基づく駆除の許可を持っているか(有害鳥獣捕獲等許可証など)
- 明確な見積もりを出してくれるか(作業項目ごとの内訳が明記されているか)
- 駆除後の保証やアフターサポートがあるか(再発時の対応方針など)
- 地元自治体と連携しているか、あるいは自治体の指定業者として登録されているか
- 過去の施工実績や事例を開示してくれるか(写真や利用者の声など)
- スタッフが丁寧に説明してくれるか、質問にしっかり対応してくれるか
特に注意したいのは、高額請求や過剰施工を行う悪質業者の存在です。中には「今すぐ工事しないと危険」などと不安をあおり、不要な工事まで契約させようとするケースもあります。そのため、複数の業者から相見積もりをとることが推奨されます。
最近では悪質業者による高額請求被害もあるため、市役所の紹介業者や、地域の口コミ評価が高い実績ある業者を選ぶことが重要です。可能であれば、実際にその業者を利用した人から話を聞くのもよい方法です。
ハクビシン駆除は市役所に相談して補助金も活用しよう

最後に、この記事のポイントを改めて整理しておきましょう。
- ハクビシンを見つけたらまず市役所や保健所に連絡することで、法的・実務的な対応のスタートを切ることができる
- 市役所では檻の貸出、駆除許可の申請手続き、補助金制度の案内、信頼できる業者の紹介など多面的なサポートが受けられる
- 駆除費用は10万円以上かかる場合があり、放置することでさらに高額になるリスクもあるため、補助金を利用して早めに対処することが重要
- 自力駆除は法律上の制限も多く、再発リスクもあるため、経験豊富な専門業者の協力を得ることで安心・安全な駆除が可能になる
また、ハクビシンの被害は時間とともに拡大していく傾向があり、被害の初期段階であればあるほど、対応も簡易かつ安価に済む可能性が高まります。市役所や保健所への相談は無料であることが多く、早めに行動を起こすことにデメリットはありません。
行政の支援と専門業者の力を上手に活用し、安心して暮らせる環境を守ることが大切です。